ホログラフィック・ディスプレイという言葉に、全くピンとこない方へ。
ホログラフィック・ディスプレイは、確かに、VR/ARと比べて知名度も低く、目立たない存在です。
しかし、同じくらい未来を感じられる技術なんです。
今回は、
- ホログラフィック・ディスプレイとは何か?
- ホログラフィック・ディスプレイができることは何か?
についてまとめていきます。
ホログラフィック・ディスプレイとは?
ホログラフィック・ディスプレイとは、
平面的な映像を立体的に投影する技術(ホログラム)を使ったディスプレイのことです。
引用:NEXMEDIA(https://nexmedia24.jp/service/hologram/)
これにより、2次元映像に3次元目の情報(奥行き)を持たせることが可能になります。
SF世界のようですが、
ホログラフィック・ディスプレイは今に始まった技術ではなく、
角度によって変わるキラキラしたシールから始まり、赤青メガネを使ったイラスト、
家電だと3Dメガネを使ったテレビ、ゲーム業界だと任天堂の3DSが有名ですね。
それが最近になって実用化が進み、今では個人向けのホログラフィック・ディスプレイが発売されるまでとなりました。
ちなみに、似たような技術に、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)がありますが、これらとは少し違います。
何が違うのか、少し解説しましょう。
VR/ARとホログラフィック・ディスプレイの違い
VR/ARとホログラフィック・ディスプレイの大きな違いは、「映像の境界」です。
VRやARには、映像の境界がありません。
例えば、VRはヘッドマウントディスプレイによって、視界全体が覆われています。
また、ARは画面を通すものの、対象範囲は現実空間全体です。
つまり、この2つはリアルとバーチャルの境目をなくすというのが目的なんです。
(VRはバーチャルをリアルに、ARはリアルをバーチャルに寄せる技術です)
これにより、バーチャル世界に没頭できるようになります。
その一方、ホログラフィック・ディスプレイは画面という箱を作り、その中をリアルに表現する技術です。
VR/ARと比べて、没入感よりも客観性を持たせることができます。
現にVR/ARのゲームなどは、自分が体験するという主観的な視点が多く、
ホログラフィック・ディスプレイは、モデルの開発など、三人称視点を前提にしていることが多いです。
「ん、だから?」
ということなんですが、
一人称視点であるVR/ARは、酔いやすい人にとっては苦痛になります。
僕もすごい酔いやすい体質で、そういう理由でVRを避け続けています。
三人称視点だと、そうした心配はないですし、実際体験するとわかりますが、
ホログラフィック・ディスプレイで映すものは箱庭感が増します。
そこの空間だけ別世界になる感じなので、水槽で金魚を飼うみたいなコンテンツに相性がいいんです。
これがホログラフィック・ディスプレイのメリットと言えるでしょう。
あと、ヘッドマウントディスプレイをつける姿がイタイと感じるのもVRを避ける原因だったり。
ホログラフィック・ディスプレイをサポートしている企業
ホログラフィック・ディスプレイを開発している企業は、主に3つあります。
- Looking Glass Factory
- SONY
- NEXMEDIA
Looking Glass Factory
世界初の個人向けホログラフィック・ディスプレイを発売した企業として有名です。
現在Looking Glass Portraitが発売中で、2022年3月にはLooking Glass 4K Gen2を発売予定です。
Looking Glass Portraitは輸送費込みで約6万円と「比較的」手頃です。
難点は、公式サイトで注文してから3ヶ月以上かかること。
今のご時世だと尚更しょうがないですね……。
メルカリとかで探すと安くて、配送が早いのでおすすめです。
ちょっと借りたいだけなんだという方は、アリススタイルで貸し出しやってますので、よかったらご参考に。
SONY
顔をトラッキングすることで、人それぞれの視差に対応したホログラフィック・ディスプレイ「空間再現ディスプレイ」(SRD)を発売してます。
ポテンシャルが高く、ダントツで解像度がいいです。
ただ、個人向けというより開発向けらしく、その値段は税込55万円。
高すぎ・・・。
実店舗に展示してますので、一度見てみてもいいかもしれません。
個人的にこれも貸し出しやってみたいんですが、ちょっと勇気出ない。
NEXMEDIA
NEXMEDIAは、企業向けホログラフィック・ディスプレイを提供しています。
結構、種類が豊富で、等身大でホログラムを表示するパネルも出しているみたいです。
ただ正直、企業向けなので個人としてできることはなく、
興味がある方はホームページから問い合わせをする必要があります。
ホログラフィック・ディスプレイでできること
ここからは、具体的にできることについて話します。
基本的に、現在ホログラフィック・ディスプレイは発展途上で、
個人で楽しむというよりも、開発・研究に用いることを前提としています。
自動車の設計や臓器の表示などと、専門的な分野でよく使われています。
しかし、個人でも十分に楽しめます。
今から紹介するのは、個人で楽しむエンターテイメントです。
現在進行形で勉強中なので、これからもっと増えていくと思います。
思い出をリアルに残せる
Looking Glass Portraitは、iPhoneで撮った写真を立体的に表示させることができます。
友達と共有したときに、その場の立体感が伝わるのは嬉しいポイントですね。
例えば、桜の写真を撮れば、幹のゴツゴツした感じ、花が散っている感じが鮮明に残ります。
人の写真を撮れば、奥行きが出て、リアルな感情が感じられます。
(そういう意味では、未来のオンライン会議がホログラフィック・ディスプレイになる日が近いかも…?)
また、立体視を使った新しい映える表現が生まれるかもしれません。
推しのアイドルが目の前で踊る
コロナ禍により、屋外ライブ・エンターテイメントの市場は収縮してしまいましたが、
それに代わって、オンラインライブの需要が伸び始めています。
(ピア総研によると、2020年の「日本国内の電子チケット制の有料型オンラインライブ市場規模」の総額は、推計448億円と言われています)
アーティストのライブはもちろん、
近年ではVTuberによるオンラインライブも主流となりつつあります。
将来的には、ホログラフィック・ディスプレイが普及し、よりリアルなオンラインライブを楽しめるのでしょう。
また、個人でもツールを使えば、推しの2次元アイドルを踊らせることができます。
例えば、皆さんはMMDをご存知でしょうか。
ニコニコ動画世代の方はご存知かと思いますが、MMD(MikuMikuDance)とは、
初音ミクなどの2次元アイドルを踊らせることができるソフトです。
今でも現役で活躍しているソフトなんですが、
これを使えば、2次元アイドルを目の前で踊らせるミュージックビデオを作ることができます。
ただ、MMDをホログラフィック・ディスプレイに対応させ、満足のいく結果を得るには、
まだまだ改善が必要です。
いやあ、やることいっぱいで、最高ですね(泣)。
新感覚のゲームを作れる
ホログラフィック・ディスプレイのコンテンツは、
Unityなどのゲーム開発エンジンがサポートされているので、
立体視を使ったゲームも作ることができます。
すぐに遊べるゲームがあれば、それに越したことないですが、
さすがに、そこまで未来を先駆けた企業は(僕の知る限り)存在しないので、
待つか、自分で作るかしかありません。
立体視を巧みに利用したパズルゲームとか、箱庭感を活かしたペットを育てるゲームなど、
作ってみると楽しいかもしれませんね。
まとめ
以上、ホログラフィック・ディスプレイについてのまとめでした。
スマホ、テレビ、パソコン、すべての画面がホログラフィック・ディスプレイになる未来が近いのかもしれません。
そして、目指すは立体視になったYouTube……!?